言葉は津波をも凌ぐ強さがある – コーヒーマスター Yoshi Masuda

普段のFuture Ownership Japanでは、海外における情熱を持った個人や活動・ムーブメント・シーンを紹介しているのだが、今回は「海外の人が見た強い日本人のあり方」という視点をご紹介したい。

カナダ・東京・名古屋にて映像作家であるMackenzie SheppardがドキュメンテーションをされたコーヒーマスターYoshi Masudaである。最高のコーヒー作りを目指す彼は、3.11の東日本大震災によって心を傷づけられた人々の力になりたいと、自らの柱であるコーヒー、そしてそれらにまつわる全てのシーンを被災地に運び出そうと動いたのである。今回ご紹介している映像では、Yoshi Masudaさんは英語を話されているので少しだけその内容をピックアップしたい。

映像の冒頭で突如目に飛び込んでくる重厚なアンティーク空間や「it’s coffee time 〜」という音楽に目と耳を奪われてしまうが、そこでYoshi Masudaさんはいきなり「コーヒーを作るプロセスからは謙虚さを学べる」という興味深いセリフを言い放つ。そして、コーヒー豆を挽き始めたかと思えば、すぐさまその作業を止め、「音が良くない」とまた経験の奥行きを感じる一言をポロリ。

良質なコーヒーを生み出すためには、水の質、温度、そしてグラインダーの質が大切だと話す。そして、すべてのコーヒーグラインダーには個性があるため、一つ一つ「もの」にしなければ、 コーヒー豆の良質な味を引き出せないのだそうだ。今回の3.11により被災した人々に対して、自分には何ができるのだろうと考えた結果、やはり自らが最も大切にしているコーヒーを軸にしながら、自分、そして被災地においても本来は「日常」であるものを持っていこう、と決断した。コーヒーが持つ味、アロマ、シーンを全てありのままに。

実際に被災地へと足を運び、人々にコーヒーと音楽という日常の一時を共有したYoshi Masudaさんは、「言葉も波であり、それは津波をも凌ぐ強さがある。そして人々の人生を変える事ができる」と話している。
被災された人々と同じような被害は受けていないが、そこにいる人々と対話を重ねる事によって「自分自身もその人々の人生の一部である」事を感じるという。

そんな実感覚があるYoshi Masudaさんは、「例え、コーヒーで人々を喜ばせるという小さい活動だとしても、私の全ては日本のためにあります」という強い言葉を迷い無く言い残している。 地に足のついた現実感を内に持つ人間の強さではないかと感じるものがここにある。その強さは決して目の前の「現実」を指すのではない。「言葉で人の人生を変えられる」といった未来への展望が、とてもリアリティのあるものとして認識できるか否か、現実として感じ取る事ができるか否か、これが行動力の支えにもなるのではないか。

目の前で起きている社会現象に違和感を感じたり、疑問を感じるのであれば、それは自分にとって紛れもない現実である。逆に違和感を感じ取らない人にとっては、それもまたその人の現実である。
もし人々の発展は現実と理想とのギャップを埋めるプロセスの中で獲得できるものであるならば、その「現実感」を大切に汲み取れなければ社会はいつまでも曇って見えてしまい、行動は生まれない。曇って見えている社会に明かりを灯す事はできない。それは、現在位置を知らなければ、行き先が示されている地図を渡されても意味が無いのと同じではないだろうか。逆に、現在位置を知る事で、つまり社会に対してリアリティを感じる事で、進みたい未来への道筋も少しずつ模索でき、行動力の源泉が手に入る。

Yoshi Masudaさんは、謙遜して自分の行動を「小さい活動」と称しているが、本来、情熱に裏打ちされた行動に小さいも大きいもないと考えている。小さい、大きいという概念を持っているのは、そのプロセスに込められる様々な努力や配慮を知らないあるいは想像もできない人達の発想である。重要な事は、社会において人々が自身の現実感を頼りに自らがやるべき道・進みたい道を主体的に歩みながら行動に移していく事ではないだろうか。そのような行動は今回のYoshi Masudaさんのように、国境を問わず人の心を打つ。

Mackenzie Sheppard Website
http://www.mackenziesheppard.net/#

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