デジタル社会だからこそ異彩を放つ「アナログの美学」。
デジタルとアナログという言葉は対比関係として認識されがちであるが、むしろ融和する関係性にある。
伝統が伝統であり続けるためには、絶え間無い革新が求められるように、アナログが今日社会に受け入れられるためには、過去の延長には無い、非連続の発展が求められる。
今回ご紹介したいthe impossible projectはまさに先代達が創出した価値観を現代のバランス感覚によって咀嚼し、蘇生させ、伝達しているプロジェクトである。
IMPOSSIBLEは2008年にこの世から去ってしまったポラロイドカメラの廃工場を元ポラロイド社より買い取り、新感覚のインスタントフィルムを製造・販売している。
当時の製造過程で使われていた材料が存在しないため、「現像液と光の関係性」という原点を軸に、新たな技法や材料によって全く新しいフィルムが作られている。
一度「歴史」と化してしまったものを復元し、再構築するプロセスには無数の難壁が待ち構えている。そんな中、the impossible projectが結束し、活動する目的は、
「アナログ写真が持つ尊い文化を次代へと継承していく」という事に他ならない。
冒頭でも記載した通り、デジタルとアナログは対比関係ではなく、それぞれが異次元に存在する。
「アナログ」というものは、人間にはコントロールできない範疇故に、人間の想像力をさらりと超越し、私達を魅了する独特の価値観を指す。
それは、人間が自然に圧倒されるのと同じような神秘に包まれ、生命への手応えを感じられる世界である。
そんな代替不能な価値観を伝えているIMPOSSIBLE TOKYOは、2013年6月14日~7月21日にかけて、中目黒にあるImpossible Project Spaceにて「対比と退比展」を開催。
過去には、荒木経惟氏や大森大道氏といった名だたる巨匠の作品展も開催したこの場でImpossible filmが織り成す個性豊かな作品の数々が体感できる。
再現性や反復性といった匿名な価値ではなく、唯一無二の表現がここに集結。
是非、人間らしい原感情を感化させてくれる空間に足を運んでみては如何だろうか。
【対比と退比 — Contrast & Regression】
自然環境と密な関係にあるImpossible film。
思ったよりも赤みがかったり、青みがかったり、
意図的ではないその仕上がりも、時に偶然が織りなす芸術と成り得ます。
しかし、その偶然も、実は必然。
撮る場所、撮る時間、撮る物によって、
Impossible filmの仕上がりはいかようにも変化します。
特定の色味が強くでたり、鮮明かと思いきや淡い印象の像になったりと
まるで偶然の産物のように思える仕上がりも、
実は撮影現場の自然環境によるもの。
差し込む光、その時間帯の熱や湿度、その場にある物ものの風合い、
その場のすべてが影響し必然としてうまれます。
【対比と退比 — Contrast & Regression】
前期:対比 6/14(金)〜6/30(日)
後期:退比 7/2(火)〜7/21 (日)
※退比の終演日は変更の可能性があります
前期の対比では、光と温度を軸に、
ライフスタイルの中から魅力あるシーンを切り取り
その関係性を表現することで、偶然を必然へと誘います。
後期の退比では、アーティスト集団 “The Little Shop of Flowers“ とともに、
花とフィルムの”生”の部分をインスタレーション形式で披露いたします。
The Little Shop of Flowers
http://www.thelittleshopofflowers.jp/
前期の対比会期中に、展示作品がどのフィルムで撮影されたかなどの
舞台裏を質問形式でお客様に投げかけ、ご回答にあわせていろいろな特典を
贈呈させていただくイベントもご用意しております。
後期の退比では、7/6(土)にワークショップを開催する予定です。
詳細は近日IMPOSSIBLE NEWSからアナウンスいたしますので、
こまめにチェックしていただけたら嬉しいです。
東京都目黒区青葉台1-20-5 OAK BLD 2F Impossible Tokyo KK
TEL:03-5459-5093
MAIL:tokyo@the-impossible-project.com
本展を通じ、ひとりでも多くの方に、
Impossible filmがいかに自然と密な関係にあるのかを、
伝えることができればと思っています。
IMPOSSIBLE TOKYO
Website : http://www.the-impossible-project.jp/index.html