「旅そのものが目的」である – わびさび職人 Sean Woolsey Film

Sean WoolseySean Woolsey

以前、Future Ownership Japanでも紹介した作り手であるSean Woolseyの映像が新たにあるので、こちらを紹介したい。新しい人達の発掘はもちろんだが、こういった一度紹介した人々のその後を追っていく事、深化の道を紹介していく事も大事だと思っているのでお付き合い頂きたい。

「かつてとある人が”本物のアーティストはインスピレーションを待たない。いつかアイディアが湧く事を期待しながら行動しているようでは、決して多くの事を成し遂げる事はできない”、と教えてくれました。その言葉の本当の意味を実感できるまでには少し時間がかかりましたが、今では、行動こそがアイディアやイノベーションを生むのだと実感できました。」

この映像の中で、特に大切だと感じている言葉が”Re-purpose”である。「再度目的を持たせる」、という意味になるこの言葉は、21世紀に生きる私達にとって外せない視点である。
時に、手を介した仕事を21世紀において行う事を「逆戻り」と批判する声もあるが、Future Ownership Japanではそうは思わない。やはり手にしか生み出せない仕事は無数にあり、何よりも獲得できる精神性こそが尊い。手仕事の魅力を挙げればきりがないのでここでは割愛するが、その尊さを感じているからこそ、同時に手仕事に対する批判にも冷静に耳を傾ける必要はある。

それらの批判はどこに向けられているのか。その批判はやはり、一言で言ってしまえば、「手仕事における進化性」を社会が広く感じていないからではないかと推察する。これはどんな分野の人々にも言える事であるが、今を生きる人達にとって自身が関わっている領域や生活が「進化・深化」していないのであれば、「今を生きる」使命は果たせていない。世界情勢や価値観は不連続かもしれないが、人の命、社会の命、地球の命は絶やしてはいけない。
私達が生きる「今」は、次世代に橋渡しするための「今」であり、この「今」も、そもそもは先人達が残してくれたもの。

そういう意味では、この”Re-purpose”という言葉には、自分よりも遥かに大きい事のために尽力しようという心意気が受け取れるのであり、この意識こそが、社会を前に進めるのだと考えている。
2080年頃から2012を振り返った時、何が語り継がれるのだろうか。2080年に生きる人々を圧倒できる創造物はどれだけ残せるだろうか。今の時代に物事の価値を持たせるという事は、同時に、未来の人々に対する挑戦状でもある。

時代を越えたコミュニケーションが成立する事は、私達も歴史を見ながら十分に感じているはず。そんなダイナミズムを感じながら、生きる事で見えてくる風景はきっと違ってくる。
それはSean Woolseyが映像の中で語っているこのような言葉からも感じ取る事ができる。

「僕は、自分の身の回りにいる人達から多くのインスピレーションを貰っています。それは、9時-5時の快適帯を脱し、壮大な手仕事の旅に出ている人達です。”旅こそが目的”なのです。」

Sean Woolsey
(Film via Process Creative)

 

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