NY発 ジャーナリズムの新たなあり方を模索するデジタルメディアプロジェクト – Narratively

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情報の新陳代謝が激しい現在のデジタルワールド。各種ソーシャルメディアを始めとする即時的な情報拡散を促す機能は社会において重要な資産ではあるが、当然弊害もある。
爆発的な情報発信の渦中においては、人々の注目と時間の奪い合いが激化し、結果、 時間をかけて少しずつ理解を醸成していくような奥行きある情報コンテンツよりも、瞬時に理解できる、又は興味喚起されるような安易な情報拡散に繋がりがちである。所謂インフルエンサーの有名性を利用した情報や認知リテラシーに依存しなくても驚きが得られるような内容である。

しかし、瞬時に理解できない情報に直面した際に一種の拒否感や面倒くささのようなものを感じてしまうという事は、新たな学びの機会を放棄しているという事。
それらが定着した社会では、人々は物事を深く考える事を避け、本質から遠ざかり、真の問題や解決すべき課題が見えず、いつまでたっても現状維持のまま、社会として発展する事ができなくなってしまう。

実際、Future Ownership Japanの読者の皆様の多くも、様々な媒体で行われている非本質的、均質的な情報提供に対して強い拒否感を持ち、残念な気持ちになっている方が多いのではないだろうか。
影響力のある立場として、もっと伝えるべき尊い価値があるのに何故、画一的な情報ばかりを発信するのか、と。「情報は消費するものではない」と。

上記の現状は、ジャーナリズムという社会的に必要な職能をも脅威にさらしている。人々の意識が瞬時に理解可能なものに偏重してしまえば、ジャーナリズムの得意分野である「情報の深堀り」に対する価値の軽視を招く。

このような流れに苦しむジャーナリズム界において、ニューヨークで大変興味深い新たなプロジェクト、Narrativelyが今年夏のローンチに向けて準備を整えている。
元GQ、Times, New Yorker, New York Times, The Wall Street Journal等様々なメディアでフリーランスジャーナリストとして携わっていたNoah RosenburgとBrendan Spielgelが立ち上げるこの新たなデジタルプラットフォームは、NYにまつわる物語を1週間に1つ取り上げ、毎日それらを最適且つ異なるなフォーマットにて多角的に描写していく、というもの。月曜日には映像ドキュメンテーション、火曜日には25,000文字の記事、水曜日には写真といった具合である。ここで重要な事は、メディアサイト等で取り上げられる「トップストーリー」ではなく、知られざる人々の物語のみを伝える事が目的である、という事。

トップストーリーに取り上げられる事が重要で、そうでないものは重要ではない、という判断基準では無く、共に社会を共有する者に対する敬意をきちんと図る事は社会の健全性のために欠かせない要素ではないだろうか。
情報発信のペースをあえて緩め、如何に私達は「知らないか」という事を改めて突きつけるこのプロジェクトは、物事の多層な価値を見れる視野を育む一つの方法ではないかと感じている。

掲載コンテンツに関しては明らかではないが、一部公開予定のものとしては、何十年もアンティーク眼鏡を収集している80歳の女性の話、知られざる男性ストリッパーの日常物語等、通常のメディアサイトではなかなか取り上げられないようなコンテンツである。
これらは、社会の一人一人に物語がある、という考えの元、よりニューヨークに対する多様性を理解して欲しいとの願いが込められている。

「昔からローカルに根ざした上でジャーナリズムやストーリー・テリングを実現する場を夢見ていました。美しい物語を伝える事を目的に、美しい物語を伝えたいのです。」とNoahは話す。

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事業収益としては、イベントへの参加権等やebook、限定コンテンツが手に入るプレミアム会員(月数ドルを検討中)やイベント参加費等を予定しているという。個人的に興味深い事は、人々が1つのテーマに対して1週間毎日サイトに訪れる、というモデルが構築できるとなれば、例えば広告のあり方を変える可能性もあり、メディアサイトの収益化に新たな選択肢が生まれるかもしれないという事であるが、これはまだ先の話になりそうなので言及を控えたい。

当然、サイトローンチはあくまでの初手に過ぎず、今後Narrativelyのビジョンとしては、ローカルメディアの新たな方向性を示し、ニューヨークだけでなくあらゆるローカル地域に発展させ、ジャーナリズム価値を高める事に尽力する、というものを掲げている。

現在、Kickstarterでも5万ドルの資金調達を希望しているが、このジャーナリズムの本域を取り戻しながら、ジャーナリズムの未来を構築する旅はとても有意義なため、その成功を私達Future Ownership Japanも応援している。

narritively

Website
http://launch.narrative.ly/?r=http://www.kickstarter.com/projects/narratively/narratively

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