3D印刷技術の応用の矛先は「砂と太陽」 モノづくりの可能性を探る – Markus Kayser

Markus KayserMarkus KayserMarkus KayserMarkus Kayser

1983年ドイツ生まれのMarkus KayserはLondon Metropolitan大学にて4年間3D家具とプロダクトデザインを学び、その後2年間Royal College of Artにてプロダクトデザインの勉強を続け、2011年イギリスはロンドンにて自身のスタジオを設立した。

初期の家具や照明器具の作品を通じて素材やデザインプロセス、技術への理解を深めたMarkus Kayserは、そのプロダクトが持つ実利的な側面を超越した価値を語りかけ、個々人がより深い繋がりが持てるプロダクトを作りたいと考えている。実験的である事は彼のデザインプロセスの中心的価値の一つでありながらも、コンセプトの背景に入念な研究と考え抜かれた理論とが同居する事が、対象となるテーマにおける真のポテンシャルを解明するためには重要であると考えている。

また、Markus Kayserは真剣さとユーモアのバランスを取りながら物語を伝えようと試みている。これにより、プロダクトや作品における深みを失う事なく、より人々にとって消化されやすいものとなる。
新たに設立されたデザインスタジオの目的は、新しい技術、そして忘れ去られてしまった技術をデザイン制作に反映させながらその可能性を探り、科学、アート、エンジニアリングといった一見異なる分野の境界線を曖昧にしていく事である。

そんなMarkus Kayserのプロジェクトの一つを今回ご紹介したい。その名は「Solar-Sinter Project」、すなわち「太陽光焼結プロジェクト」である。

Markus Kayser

エネルギー生産やあらゆる原料不足の課題が加速する時代を背景に、本プロジェクトではエネルギーや原料が潤沢にある砂漠での製造可能性を探る事が目的である。この実験では、ガラス製造物を作るために3D印刷技術を応用し、太陽光と砂がそれらを生産するためのエネルギー源及び素材として活用される。砂と太陽への着目はそもそもこれらが世界中に大量に存在するからである。砂に含まれる二酸化ケイ素はガラス、コンクリート、半導体の絶縁体などの材料として使われる。融点に達したケイ素を冷やす事でガラスが作られるのであるが、このような粉状素材を熱加工する事によって固体化する事を焼結と呼び、これらは近年3D印刷によるプロトタイプ制作等に用いられる技法である。通常、3D印刷を行う場合はレーザー技術を用いる事で粉状のプラスチック、樹脂や金属を正確な3D物体に仕上げるのであるが、今回の実験ではそのレーザーのかわりに太陽光、樹脂の代わりに砂を利用してみようという試みである。

2011年2月に作った最初の太陽光焼結機はモロッコの砂漠で実験が行われ、その頃はまだマニュアル稼働のものであった。その後、2011年5月頃には動画にもあるようなコンピューターによる自動化に成功し、今回はサハラ砂漠にで実験が行われた。

このプロジェクトは未来の製造業に対する疑問を投げかけると同時に、地球上における最も効率的なエネルギー源である太陽光が如何なる潜在力を秘めているのか、その可能性を覚醒させるきっかけを目指す。
決して決定的な答えを示すものではないが、新たな着想としての出発点として本プロジェクトを捉えて頂きたい。どんなに社会貢献度が高いものや人類への功績が大きいものも、その出発点は決して目立つものではないかもしれないが、必ず独特の輝きがある。
それらを丁寧に汲み上げられる社会の目がその醸成には不可欠である。

 

Markus KayserMarkus Kayser

Photos via Markus Kayser Website

Markus Kayser Website
http://www.markuskayser.com/’http://www.markuskayser.com/’/about-this-site//’

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