「ライフスタイル」の再考 – Andrea Brugi

1日の中で「ライフスタイル」という言葉に遭遇する回数は決して少なくない。消費者物価指数が用いられる経済評論の場、日常生活のあり方を提案する雑誌、マーケティング論文等、その舞台数は多様である。しかし、日々「新しい」ニュースがひっきりなしに飛び込み、今日新しい事を明日古く感じさせる社会環境では、「ライフスタイル」といった人類にとって普遍的な言葉こそ、実はあまり本質的な意味合いの考察や独自の定義・位置づけという行為がおろそかになりがちではないだろうか。つまり、「ライフスタイル」という言葉を使う時、それらは何を指しているのか、そして、いざ自分にとっての「ライフスタイルとは何か?」という根本的な意味合いやライフスタイルに伴う価値観を問われた時、それらに対する自分なりの解や理想を持ち合わせているだろうか。また、ライフスタイルという言葉には輪郭も伴わないとてもぼんやりとして、掴みどころの無いイメージが潜んでいないだろうか。

では、仮にそうだとしてもそれの何が問題なのか。何故、今日それを考える必要があるのか。それは、日本という小さな島国が類い稀な高度経済成長の中で画一的な「ライフスタイル」や「豊かさ」を追い求めた結果、それらが真の豊かさではなかった事に多くの人々が「実感レベル」で気付いた今だからこそ、改めて「豊かさ」の再考がなされる必要があり、「豊かさ」を考える上で日常を構成する「ライフスタイル」という生きる営みの根底にある土台からもう一度見直す必要があるからである。

近年の論調の一つに「物資的」豊かさの否定し、「精神的」豊かさを追求しよう、という内容のものがあるが、決して豊かさとは物資的か精神的か、という二項対立では成立しえない。むしろ、それらが調和した上で成り立つ交点を探さなければ豊かさとは存在しないのではないだろうか。物資的な「モノ」が悪なのではなく、それを手にした時の判断軸や視点・視座に豊かさの源泉が伴っていなかった事が豊かさを感じない原因の一つではないだろうか。つまり、ただ「モノ」を保有する事と、その「モノ」が持つ心や果たす意義、また目の前の「モノ」とそれを買う人の間で関係が終わるのではなく、より大きな社会的な循環や役割を担う一つの潤滑油として機能する「モノ」を丁寧に選び抜いた上で保有するのとではまるで意味が違う。

大切な事は自分自身が求めるライフスタイルのあり方、生き方の軸となる価値観をしっかりと持つ事。生活にもビジョンが必要であり、それは一人一人が必ず描けるものだと信じている。

そんな意識から、今回は自身の「ライフスタイル」というものを丁寧に構築している一人であるAndrea Brugiをご紹介したい。

Andrea Brugiは小さな塩瓶、棚、木の個性に逆らわずに作ったカッティングボード、ダイニングテーブル、ベンチ、巨大な彫刻等を作る、一人の作り手である。飾り気が無く、愚直でありながら、とてもコンテンポラリーな気配を持つ彼の作品におけるデザイン哲学はこう表現されている、「自分は形を作らない。形は既に素材の中に込められている。」

実は今回はあまり多くは語らず、写真にその意義を語ってもらいたいと考えている。あまりにも雄弁な写真なので十分に伝わるのではないかと感じている。ウェブサイトも写真中心の静的なサイトで素晴らしいので是非。
一点加えるとすれば、ライフスタイルとはそもそも多様な解釈があるべきものであり、今回ご紹介しているあり方は、あくまでも自身と向き合い、価値観に正直に生きた結果紡ぐ事ができた一つのライフスタイルとして捉えて頂きたい。

最後に、人間には「慣れ」という恐ろしい感度低下装置を瞬時に発動させる力を持っており、日常的に頻出する物事にこそあまり目や心が配られない。人は意識しなければ、基本的には「変化」に敏感な生き物であり、一見常態化しているような事象に対してはどうしても興味や問題意識の優先順位が落ちてしまいがちな側面を持っている。だからこそ、日常的に使われる「ライフスタイル」の意味を今後改めて再考したい。このテーマは一夜で終わるものではないので、今後、様々な角度から色々と意見を交わして行きたいと思っている。

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Pictures courtesy of Andrea Brugi

Andrea Brugi Website
http://www.andreabrugi.com/

 

 

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