音の建築 – Zimoun

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「アーティスト」というのは肩書きではなく、一つの姿勢である。
その姿勢は様々であり、人類に対する新たな論点・視点・問いを発見し、それを作品を通じて提示していく事かもしれないし、純粋極まりない自己追求かもしれない。
どんな形であれ、アーティストは生涯を賭けても達成しえない終わりなきこのプロセスに心血を注ぐ。

「効率」や「スピード」といった価値観が蔓延する今日という時代において、長期的な展望を持ち、短期的な結果に一喜一憂する事なく、何かに取り組む、という価値観は希薄になりがちではないだろうか。
決して容易に保有できる価値観ではないが、ゴールが何かを分からず、また何の見返りがないかもしれないプロセスをひたむきに続ける精神性は実に尊い。
「効率」や「スピード」といった価値観は全て「結果」や「比較対照」が見えてこそ存在する価値指標である。何に対して効率的なのか、何より早いのか、これらは全て比較論であり、一刻もはやくゴールに向かう事を重んじるものである。もちろん、これらは否定している訳ではない。 効率やスピード無くして今日の経済発展は無い。

しかし、世界における情報交換・価値交換が進むにつれ、様々な表現や創出物がある側面において平均化を招いている状況がある。より効率的に早く何かを生み出そうとする結果、逆に圧倒的な何かが生まれにくくなっている側面も感じる。(もちろん、クラウドソーシング・クラウドファンディングに代表される集合知のような知恵の運用方法によって、複雑な問題に対する解決策が次々と生まれている事も同時に起こってはいる。)もちろん、人の創造物は全て何かしらの記憶・経験・インスピレーションが編集された結晶物である事を考えると、真に新しいものは恐らく人類がまだ知らない事にしか潜んでいないのかもしれない。

いずれにしても、そのような状況において今後人類の更なる発展を考えた場合、それが物質的・精神的発展にせよ、今こそ改めて長期的な視座に立脚した営みを再考すべきではないだろうか。

そんなマインドを共有できるアーティスト達の中から今回ご紹介するのは建築的な視点から音を捉え、シンプル且つ機能的な要素によって音のプラットフォーム構築を試みているスイス出身のアーティストのZimounである。

映像からも観察できるように、ダンボール、モーター、ワイヤーといったシンプルな機械装置により音を奏でているが、それらの装置と音が幾多にも重なり合わさる事でまるでそれぞれが生物のように働き、カオティックな音が鳴り響く。建築的・機械的な規律を持ちながら、そこにカオス的な乱立を同居させる事で、「人工」と「有機」の相互作用による緊張関係を創出している。また、これらは複雑なリズムやフローをシンプルな手法で研究する試みの一つでもある。「規律」と「カオス」、「人口」と「有機」、「複雑性」と「単純性」といった相反する要素を一つに結合させる事で、改めてその矛盾性に潜む創造性を再確認できる。いつも矛盾の交点は創造の交点である。

規律によってカオスが導き出される事を観察していると、私達人間にとって創造性を発揮するために如何なる規律が求められるのか、その線引きや境界線の関係を改めて考えるきっかけもこの作品は与えてくれているのではないだろうか。
現在、フロリダのRingling Museum of Artにて2012年1月8日まで展示会を開催中との事。

また自身のウェブサイトにも興味深い作品がいくつも掲載されているので是非ご覧頂きたい。

(Pictures courtesy of Zimoun)

Zimoun Website
http://zimoun.ch/index.html

 

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