ニューヨークを拠点にファッション、エディトリアル、ポートレート、ライフスタイルやドキュメンタリーフォトグラフィー等を手掛け、以前ご紹介したRog Walkerとも協働し、共に様々なビジュアル表現を通じて、個人の情熱の源泉に触れるプロジェクトを進めているAndre Wagnerのご紹介。
「クリエイティブであるという事は単にユニークで自身の想像力を拡張させるだけではなく、自身の作品に自らの情熱溢れる人生を反映させる事」、と主張するAndre Wagnerは自身のサイトであるAbstract Elementsにて過去のポートフォリオやプロジェクトを掲載しているのだが、このサイト内にある”Uncharted Tale”(直訳すれば未知の物語)という個人プロジェクトでは、クリエイティブに生きる事や情熱を人生に反映させる際に切っても切り離せない「不確実性」との向き合い方を重んじている事がうかがえる。
この ”Uncharted Tale”はドキュメンタリーフォト・ストーリーとなっているのだが、冒頭にとても共感する引用文を配しているので、こちらを少しご紹介したい。
「未知の世界に生きるという事は、自分の人生を永遠に変える何かを発見できるかも知れない希望を胸に、謎、熱狂(狂気)、興奮の海に飛び込むという事。
それはリスクを取るという事でもある、何故ならば未知とは脆弱な状態を意味し、確信できるもはそこには無い。
自分自身もそれらにどのように影響されるのか分からないが、日々の人生を不滅の信念と共に生きる力を与えてくれる。だからこそ未知とはとても美しい場所。 Ngozi Badu」
このメッセージの後にAndre Wagner自身もメッセージを添えているのだが、その内容は、上記のNgozi Baduのようなメッセージはある意味よく耳にする言葉かもしれないが、実際に未知なる道を歩んでみなければその本当の意味が理解できない、又、その時に湧き出る内なる感情に対する感覚を掴み取る事ができない、と言っている。真の意味で自分の心の声に耳を傾け、それを丁寧にすくい上げて体現していく事と、それに蓋をして生きる事との間には信じられない程大きな差がある。人生をそのまま受容するのではなく、自ら問いかけ、主体的に切り拓いていく事の尊さがこのメッセージに込められている。
(Photos via Andre Wagner Blog)
Andre Wagnerは”Uncharted Tale”以外にも”The Passion Project”と銘打ったフォトドキュメンタリーも制作しており、こちらはモデル、シンガーソングライター、ライター・思想家・スピーカー、ブロガー(古物愛好家)、画家、詩人といった様々な人に焦点を当てていき、その人達にとって「情熱とは何か?」を問いかけながら、そこに潜む多様な感情を伝達している。
Andre Wagnerは所謂社会的に見ても「クリエイティブ」な職能の人達に光を当てているが、「情熱の源泉」とはユニバーサルなものであり、職能や趣味・趣向に関わらず私達人類の一人一人がそれを秘めている。情熱こそが人間の想像力を越える力を生む。情熱は可能性の別名である。情熱とは極めてパーソナルな感情であり、その正体を見いだせるのは自分自身しかいない。
情熱とは自分のためだけにあるものでは決して無い。むしろ、情熱の源泉を理解しているからこそ、社会のため、世界のために強く生き、強く人を思いやる事ができる。情熱を生きる事の尊さが理解できるからこそ、人の情熱に対しても全力で力になる事ができる。
情熱こそが毎朝起きる理由であり、今考えている事を考える理由であり、今言葉にしている事を伝えたい理由である。
社会の一人一人が「未来へのオーナーシップ」を持って生きていける環境を構築するために必要な事をやっていく、これがFuture Ownership Japanの情熱の源泉である。
似たような思いを持ちながら、日々活動しているAndre Wagnerの存在は、私達にとっても大きな励みである。
*Andre Wagnerは自身の作品(写真)の扱い方がとても繊細でプロフェッショナルな姿勢を貫いているため、この記事ではその姿勢に敬意を表し、写真掲載は割愛させて頂く。
是非一度、彼の世界に触れてみて頂きたい。そして、自身の内側に触れるものがある事を願っている。
Abstract Elements (Andre Wagner Website)
http://abstractelements.com/
Andre Wagner Blog
http://abstractelements.tumblr.com/